《アオリについて》
〜第6回 Kanさんのアオリ講座〜

  一部をのぞいて、普段使っている35mmカメラは、レンズ光軸とフィルム面が直角に交差しています。
 そのために、高いビルを撮影し場合には、ビルのてっぺんが見た目よりすぼまって写ります。これを見た目に近づけるためにどうするか。またカメラ位置をずらさないで、左右に動いて撮したかのような写真をとるには、どうするか。
 このような時に、レンズの光軸やフィルム面をズラして(修正・矯正)して撮すための操作が、「アオリ」なのです。
 また、大判カメラのレンズは、被写界深度が、非常に浅いため、パンフォーカスの写真を撮りたいときにも、アオリを使います。(パンフォーカス写真がいいということではありません)

※いろいろな本でも、同じなのですが、使用している画像は、わかりやすく見せているため、移動量を多くしています。実際面では、ティルトなどは、5度〜10度ぐらいのわずかの角度になります
※カメラは、スピグラを使って説明しております。前枠を動かしてアオリを使っていますが、後枠も動かせるビューカメラ等では、目的によって前枠・後枠を動かしてアオリを使います

<ライズ>

バック(フィルム面・後枠)と平行にしたまま、前枠(後枠)を上にずらす
垂直方向の「ライズ」である。上すぼまりの建物などに対応
(※前枠or後枠を下にずらすことを<フォール>といいます)


<ティルト>
前枠(後枠)を前後に傾ける
ティルト。前枠を”お辞儀”させるとパンフォーカスになります。
※後枠をティルトさせても同じだが、被写体の形が変わってしまう



<シフト>

前枠・後枠を上下にずらすライズとフォールと違って、
バック(フィルム面・後枠)と平行に前枠(後枠)を左右にずらす
水平方向の「シフト」。横から撮るときの修正に使える
これらのアオリはごく初歩的なもので、ビューカメラに較べれば、<スイング>
とバック部の動きが無いが、これだけあれば組み合わせていろいろに使える。

☆これらを使うときには
レンズの光軸を常に意識すること。
中心付近は最もピントとコントラストが良いので、光軸がフイルムの中心に達するように注意する。
 
ただし、ライズ・フォール・シフトなどは、これをわざと外してゆがみ矯正するので
その場合は別。したがって、
イメージサークルが大きいレンズを必要とする。


フィールドカメラ(プレスカメラ)独自のアオリ
<ベッドダウン>


<ベッドダウン>
焦点距離の短いレンズを使うときの「ケラレ」防止によく使われます
ベッドが傾いた分だけ、レンズを「ティルト」します。これで、フィルムとレンズが平行になります。さらに、「ライズ」を使うと光軸がまっすぐになります。

ただし、一般にプレスタイプのカメラの技なので、組み立て暗箱などには、ついていないのが普通だ。

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