さぁ 亜哉の大判写真教室の第4回目の講義のはじまりだよ〜。 

〜フィルム現像〜その2〜

     
キンコーンカンコーン〜! この時間は、Kan先生からです。インチキ現像法って言ってますが?お願いします。


☆Kan式インチキ現像法

モノクロ現像の方法について、自分なりの考えをまとめてみようと思った。

1970−80年代にはほぼ毎週現像していた。このころの主力は「コニカドールスーパー」「ミクロファイン」「D−76」の三種類を使っていた。一番多く使ったのがパンドール、増感には威力満点だが、粒子は思いっきり荒れる。丁寧な現像はミクロファインが多かったが、次第にD−76に集約していった。理由は適度な調子と粒の揃った粒状性である。安定度が高く、今も標準現像薬として使っているので、この記事はD−76を使った場合ということで書く

※なお、記事の中のD-76は、コダックのレシピによる自家調合です。当然D-72やその他の処方も自作していました。D-76はコダック純正の方が自家調合より安定度や諧調表現が優れていると思います。後期には「シュテックラー氏二液現像法」を多用していましたが、これは現在使っている方にお任せするとして割愛しています。


@ 希釈現像か、原液か

一般にD−76では1対1に水で希釈して、一回ごとに捨てる方法が主流である。これは原液より粒状性がより良く、多少軟調になることから暗部のディテールも出るとして、70年代に盛んになった方法だが、大判に関しては、粒状性の問題などほとんど関係なく、使い捨てではあまりにももったいないので、
私は原液を約2リットル作り、2.5リットル入るビンに入れて使っている。へたって来たら、新液を2リットル作り、古いものを0.5リットル残して入れ替える。これは調合したての新液の不安定さを弱めると言うが、それより多少軟調になることの効果があると思う。まっサラを使うことは私の場合はない。しかし、明らかにわかるほどの違いが無いのも事実なので、精神衛生のためということだろう。

A 攪拌方法

これは大事だ。ムラもコントラストもこれで決まる。
私の場合は極端に攪拌回数が少ない。最初の1分間は静かに前後左右に倒す(ステンレスタンクも大判用のプラスチックタンクも同様)。後は現像の中間に一度数回倒し、最後から1分前ぐらいにもう一度攪拌するだけだ。
ここまで少ないのは、D−76原液の多少硬調になりすぎる点を緩和し、ディテールを出すためである。
22℃で6.5分を標準にし、温度と現像薬の状態に応じて加減しているが、正確なテーブルはない。1℃で0.5分短縮と言うところだろうか。私の町の水道は通年18℃なので、ここからコントロールするから夏もさして暑いことは無く、現像中程度なら温度変化は無視できる(モノクロ限定)。従って、暑ければ水道、寒ければ温湯で22℃程度にするから、標準現像は変えないことにしている。

B 増感と減感

感は温度を25−26℃程度にし、時間を延長することで対処している。二倍程度ならこれで十分だ。それ以上の場合は増感現像薬も使ったが、最近は実行していない。減感は1対1に希釈して時間はそのまま、又は多少減らせば対応できるが、ほとんど実行したことはない。これはIdacさんの世界なので参照されたい。

C 後処理

普通に停止・定着・予備水洗・水洗促進剤処理・本水洗、とすすめる。これはだれでも大差ないだろう。ただ、定着が待ち遠しいので、
3分経ったら蓋を開けて定着状態を見る。画像が透明になったらそこまでの時間と同じだけ定着し、水洗している。
その後、クリップにつるしてスポンジで軽く水を切って自然乾燥する。界面活性剤はほとんど使わないが、これでしっかり水滴班も無く、乾燥するので文句はない。


☆攪拌以外は目新しい方法ではないだろうと思う。どの程度の濃度が焼きやすいネガかという見極めは、各自で異なるし、マルチグレードペーパーや、スキャナ取り込みの時代なので、ムラ無く一定のコントラストに入っていれば良しとしている。もちろん、かつてのバライタ紙の時代ならもっとこだわって現像したが、引き伸ばしをしなくなったので、この方法で十分だ。以後の暗室作業はスキャナとレタッチソフトに任している。引き延ばしだと思ってコントラストと明るさやガンマは当然修正している。


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