さぁ 亜哉の大判写真教室の第1回目の基礎編のはじまりだよ〜。 

〜印画紙ってなぁに?〜

     
キンコーンカンコーン〜! この時間は、学長せんせいの印画紙のお話です。


☆印画紙の種類と特徴
印画紙の売り場やカタログをみると多階調・バライタ紙・厚手・半光沢・滑面・白色・温黒調と書いてあります。厚手、半光沢、滑面、とかは想像が付いても、バライタ紙とは?と思ったことがあると思います。そこで、基礎的なことを書くことにしました。知ってる人は「なんだ、当たり前のことだ」と思っても、初心者からみればそうでもありません。

                 ☆印画紙の基材(紙)による種類


☆バライタ紙 


印画紙に用いられる紙は、普通のパルプから作られた紙では、長時間の水洗に耐えられなくなって、水に溶けてしまいます。
 そのため、硫酸バリュウムとゼラチンを主成分として特別に加工された「バライタ紙(baryta paper)」が用いられます。

 この「バライタ紙」に、フィルムと同じように乳剤を塗布したものが「印画紙」として市販されているものです。乳剤の種類によって、感光する時間が早くなったり、短くなったりする特性を利用して「密着焼付」用か「引伸」用かに分かれます。
 また、光沢のある印画紙とかの「膜面の種類」があったり、原版(現像の終わったフィルム)のコントラストに対応する「号数」によって「硬調(硬い調子)」〜「軟調(軟らかな調子)」に表現できるように分かれています。

特徴

昔から使われている印画紙、水分をを良く吸い込むので、水洗時間が長く必要で、乾燥には
フェロタイプ仕上げか自然乾燥などの方法をとりますが、乾燥時の収縮が大きいので、ぬらしたままテンションをかけて貼り付けるとか、乾燥後に平板で抑える等の手間が要りますが、大変銀塩写真の味が良い特性があります。

※フェロタイプ仕上げ・・光沢面をもった印画紙をクロームメッキを施した板に貼り付けてクローム板の光沢を膜面に移すことにより、ガラスのような光沢を持たせる。微細なトーンもよく表す。高熱で乾燥させるので仕上げが早くできるフェロタイプ乾燥器を使う。硬膜性の定着液を必ず使用する必要がある。


☆RCペーパー(レジンコート印画紙) ※メーカーによって、RPペーパーと呼ぶところもあります

 環境保全が最大の目的に発展した印画紙です。というのも、印画紙の水洗が不十分だと変色が発生します。しかし水洗のための水の量って多いんです。
 近年の異常気象で、水不足になると、取水制限になるところもあります。「水洗トイレも、お風呂の水の再利用」などと新聞に出ます。水は貴重な資源であると言えます。

 貴重な資源である水洗時の水を少なくできないか?そのために、できたのが、このWP(ウォータープルーフ)ペーパーの一種、基材(原紙)に水を通さないレジンの薄い膜をコーティングすることにより、定着時間も短くて済み、水洗時間を短縮できるのが最大の特徴です。


特徴

銀塩の乗り具合の違いは、バライタ紙のようにいい色ではありませんが、少なくとも、普通にデジタル処理した画面とは違う世界です(※デジタルでも英国ライソン社のインクジェットプリンターインク等はかなり性能が高いですが・・銀一扱い)。フォトコンテストや、この1枚というときにはバライタのほうが確かにいいと思います。


                ☆印画紙の感光特性からみた種類

@ガスライト印画紙・・・感度が低く密着用

A多階調印画紙
(マルチグレード、バリグレード、マルチコントラスト等の各メーカーの表現があります)基本的にはマゼンタからイエローまでのフイルター操作で軟調硬調の切替をしています。
(これは私見ですが、パンクロ紙に近づいた感光特性です)


Bオルソクロマチック印画紙・・一般印画紙(赤・橙色に感度が低い)

Cパンクロ印画紙・・カラーネガフイルムからモノクロ印画を作る時に一般のオルソタイプでは主に青系統の感度が高く、赤系の色に感じない性質があるので、赤色系にまで感光性能を広げています。

                 ☆印画紙の階調性能表示について

印画紙の仕上がり階調性能表示は、1〜5号の号数表示があります。
1号の超軟調から5号の超硬調まで5段階表示があります。


多階調紙の場合はフイルター特性で号数を変えることが出来ます。
多階調の特性を利用して焼付けに際して部分的に号数を変えて焼付けをするテクニックもあります。


                  ☆印画紙の色調について

温黒調・・人像用、冷黒調・・一般用と言われているように適性を表しています


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