石井閘門を撮影しているときに、実際に船が航行している姿を撮影したかったが、あいにく、そういう機会に恵まれなかった。
河川をテーマにHPを公開している方も多い。その中でも『日本の川と災害』をテーマに全国的に展開して公開しているすばらしい『kasen.net 河川ネット』があることは、ご存じの方も多いと思う。
その中に、石井閘門を実際に航行している写真がある。今回、HP管理者の方に、快く写真をお借りすることができたので、写真の引用をさせていただき、国土交通省、東北地方整備局、北上川下流河川事務所より、お聞きした「閘室への注水方法」を書き加えて、石井閘門の船舶航行の実際について記すことにした。
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1. 絞車を操作して、川表ゲート(旧北上川側)を閉める 〜河川ネットより引用〜
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旧北上川河口は、潮の干満の影響を受ける。そのため北北上運河と旧北上川の間には、水位差が生じる。
水位差のある、旧北上川と北北上運河を船が航行するために、水位調整をする施設が、1980年(明治13年)6月に完成した「石井閘門」である。 |
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図−1 石井閘門のしくみ |
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石井閘門には、旧北上川側(以後北上川側と記す)の「川表ゲート」と北北上川運河側(以後、運河側と記す)の「川裏ゲート」の2箇所がある。
このゲートは、マイターゲート式(観音開き)で、左右2枚づつ、合計4枚の扉があり、閘室を仕切る役目を果たすのである。
もう一つ、閘門で重要なのが、通水ゲートである。通水ゲートは、各ゲート扉に、1枚づつ付いている小扉である。、閘門全体で4枚ついている。
北上川側か運河側かどちらかを開けることにより、閘門内への注・排水を行う重要な役目を果たすのである。
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図−2 北北上運河から、閘室に 入閘させる。 |
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@まず、北上川側の「川表ゲート」を閉める。閘室内は、運河側の「川裏ゲート」と「通水ゲート」が開いているので、閘室内は、運河の水位と同じになっている。(図では、わかりやすいように各ゲートに1つの絞車を書いているが、写真でおわかりのように、川表ゲートの絞車は、隣り合わせで、川下側に隣り合わせで配置されている) |
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図−3 入閘後のゲート・及び通水ゲートのようす
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B 船が閘室に、入閘したら、運河側の「川裏ゲート」「通水ゲート」を全閉にする。閘室内は、運河側の水位のまま閉鎖水域となる。 |
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図−4 閘室への注水のようす |
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C 旧北上川の通水ゲートを全開にする。閘室内の水位は、旧北上川の水位と同じになっていく。下の画像が、実際のようすである。 |
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2. 通水ゲート(小扉)の操作 〜河川ネットより引用〜
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閘室内への注・排水は、ゲート扉についている、通水ゲートを開け閉めする。ハンドルを挿入し、回わして小扉は開閉する(通水ゲートは、水面下に隠れていて見えない) |
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図−5 閘室内の水位と北上川の水位が平均化するようす
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B 閘室の水位が、旧北上川の水位と同じになったことを確認し、旧北上川側の川表ゲートを全開する。 |
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3. 川表ゲートを全開させる 〜河川ネットより引用〜
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図−5 閘室内の水位と北上川の水位が平均化したら、出閘する
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4. 旧北上川へ出る 〜河川ネットより引用〜
こうして、川表、川裏ゲートと通水ゲートの開閉により、閘室の水位を調整して、水位差のある河川と運河の間を、自由に行き来できるのである。 |
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5. 絞車(Makiguruma) 〜石井閘門〜
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絞車(Makiguruma)である。L字型のハンドルと、レバーが見える。これを一人で扱う。 |
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6. 通水ゲート操作部 〜石井閘門〜
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通水ゲートの操作部である。ゲート上の歩み板の上に、この操作部がついている。ハンドルを挿入して回すと、上部に、ラッチ板が上がってくる。この状態は、通水ゲートが閉じている状態である。
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7. 門柱 〜石井閘門〜
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門柱はレンガ(イギリス積み)と石材の組み合わせでできている。特にコーナー部は、船舶との衝突を考慮して石材が使われている。門柱上面は、扉部のリンクが収まるところは、石材に微妙な形に加工がしてある。
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8. 北北上運河浄水導水樋管(旧北上川側) 〜石井閘門隣接〜
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北北上運河は、モータリゼーションの発達により、次第に舟運に使われなくなり、1955年代には、舟運が消えた。
運河の水質は、次第に悪化していった。そのために、1999年(平成11年)石井閘門の隣に、旧北上川から北北上運河への導水施設が、「北上川・運河交流館『水の洞窟』」と共に完成した。
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9.北北上運河浄水導水樋管(北上運河側) 〜石井閘門 隣接〜
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浄水導水樋管の北北上運河側である。北上川の水が、運河に注がれている。
このため、淀んでいた北上運河の水質は、次第に浄化されてきた。今日的には、運河の水は、北上川の水と同じなってきている。
いつまでも清らかな北上運河であってもらいたい。
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