街道をゆく ~嵯峨散歩 仙台・石巻

「くりはら田園鉄道」~その2~

 2004年の秋に、くりでん沿線と、細倉鉱山について触れたが、2005年の春に、司馬さんの「街道をゆく」からは、もう少し「横道」に入ってみたいという気持ちになってきた。
 昨年、沿線町村は、栗原郡であったが、2005年4月1日から合併し、新たに栗原市となった。
 
 前回は、石越~細倉マインパーク前まで、くりでんに乗車しながらの撮影であったが、今回は、最盛期の電鉄時代はどうであったか、産業遺構ともいうべき電鉄時代の変電所跡も追加した。                                   (19.Apr.2005)



① 津久毛駅                                 旧・金成町

 くりでんは、石越駅から栗駒駅までは、平坦な水田地帯を走っていく。ホーム上に小さな待合室だけの無人駅が続く、かつては、単線ゆえの列車交換が見られた駅もあった。
 現在は、無人駅となった津久毛駅もその一つである。レールも外されているが、交換駅の名残が、左側のホーム跡と三角柱のスパン電柱である。



② 栗駒山を背にして走るKD95               栗原市 旧・金成町
 非電化になっても、まだ電鉄時代の遺構が残っている。道路を横切って、電化柱に配電線が伸びている。遮断器のブレードが外されている。かつては、ここからトロリー線へ直流750Vを供給していたところだ。



③ 旧・津久毛変電所                      栗原市 旧・金成町

 田んぼの先に、ポツンと建物が建っている。電鉄時代の産業遺構、旧・津久毛変電所である。




④ 旧・津久毛変電所                       栗原市 旧・金成町

 栗原電鉄時代の産業遺構ともいうべき2つあった変電所のひとつである旧津久毛変電所である。
 
フェンス入口の扉は、破れていて、変圧器にはツタが絡み、雑木までが生えている。変電室は、鎖錠してあり当然立ち入ることは出来ないが、ガラス越しには、黒くて古い配電盤が見える。
 この変電所は、電鉄時代には、直流750Vを架線に供給していたもので、なんらかの配電事故時に供給を止める高速遮断器、電圧を750Vに落とす変圧器、交流から直流に変換する変流器が収まっている。平成7年に非電化されてから10年、建家周辺の荒廃は、更に加速している。





⑤  旧・津久毛変電所社宅                  栗原市 旧・金成町

 二軒続きの変電所裏手の社宅である。屋根は、一部はがれて風に揺られてギーギー音がしている。屋根は、元々は瓦葺きであったのだろう。建物の脇に瓦が重ねてあった。
 内部は、荒れていて車のタイヤがあったり、車のベビーシートがあったり、物置とも粗大ゴミ捨て場とも見える。窓辺のカーテンはボロボロになって風に揺れていた。
 家は、人が住んでいないと荒れるというが、非電化になってから10年。こんなに荒れてしまうのかとつくづく思う。



⑥ 沢辺駅 改札口                        栗原市 旧・金成町

 気をとりなおして、有人駅の沢辺駅へ向かう。昨年、車内から撮ってから、気になっていた木製の改札口である。
コンクリートが少し濡れているが、駅長兼駅員さんが、打ち水をしているようだ。
 同じくりでんの若柳駅が、『歴史が息づく駅、楽しい駅、デザインや景観のすぐれた個性的な駅、バリアフリーの工夫をこらした駅、東北らしい駅など、いろいろな側面に配慮して100駅を厳選した』ということで、『東北の駅100選』に選ばれているが、個人的は、こちらの沢辺駅の方が好きだ。
 訪れた時が、土曜日のせいか、待合室には、人がいなかったが、1両編成のKD95が、数名の乗客を乗せて、春の日差しの中を快走していた。後2年後の2007年にはくりでんは廃止と決まっている。この駅舎もどうなるのだろうか?



⑦ 沢辺駅待合室                         栗原市 旧・金成町

  木製のベンチが向かい合わせで置いてある。窓際には
ぐるりと腰をかけたり荷物を置いたりできるようにベンチになっている。どこの駅にもあった標準的な造りである。
 待合室の真ん中に、おおきな灰皿がおいてある。冬には、円筒形の少し大きな石油ストーブが置かれて、暖を取れるようになっている。
 待合室に入って左側、くりでん利用者が読み終えた文庫本などを寄贈して、自由に借りられる『くりでん文庫』が置いてある。  昭和へタイムスリップしたような木造駅舎であるが、まだまだ現役で大切に使われている。 



⑧ 場内信号機                               沢辺駅

 沢辺駅に列車が進入するための場内信号機である。色灯式ではなく腕木式である。駅長さんが、駅舎で「信号テコ」を扱うと、ワイヤーでリンクされいるこの朱色に白線が入っている矢羽根が、動くようになっている。ワイヤーの保守も大変な作業である。
 このように水平になっているのが停止信号である。夜間になれば、矢羽根の右側に色レンズがついておりそこが点灯する。進行と停止しか現示できないのが腕木式である。
 矢羽根が、下方45度に降りると、進行信号で、列車が駅に進入できる。「信号がおりる」という鉄道隠語?は、この腕木式信号機からついたもので、「信号が青になった=進行現示」になったという意味である。



⑨  田町駅                         栗原市 旧・栗駒町

 栗駒駅の隣に、栗原田町駅がある。駅の正面には、「たまち」とひらがなで浮き出し文字が取り付けられている。くりでんの駅の中で、最も新しいイメージの駅である。木造駅舎だけでなく、こんな感じの駅もいいものだ。

 駅の右隣には、東北電力の大きな変電所が建っている。電鉄時代の田町変電所は、ホームの先の小さな丘の上に建っている。





⑩ 旧・田町変電所                      栗原市 旧・栗駒町
 電鉄時代の2つ目の変電所、旧・田町変電所である。津久毛変電所よりは新しくコンパクトである。

 配電盤も比較的新しく、通電されれば、現役でまだまだ使える感じもする。駅前には、東北電力の大きな変電所があり、電気の駅という感じがする。
 電鉄時代の最後の日に、電車に乗った人は、3両編成でしかも満員、時々、室内が暗くなったというから、架線への供給も安定してできなかったのかもしれない。





⑪  田町変電所社宅                  旧・田町変電所

 旧津久毛変電所社宅は、2軒続きの長屋であったが、田町は一戸建てである。
 雨戸が閉じられているが、栗駒山からの吹き下ろしの影響だろうか、板壁が剥がれ、屋根の一部も飛ばされている。社宅は、やはり荒廃が進んでいるのが、現実の姿である。 



⑫ 栗駒線路班                        栗駒駅構内~

  栗駒町の中心にあるくりでん栗駒駅、その駅舎の反対側に、「線路班」がある。縁の下の力持ち、線路の保守点検をする部署である。
 JRも国鉄時代には、「○○線路班」という呼び名であった。真新しい枕木が重ねてあった。



⑬ 裸電球                            栗駒線路班

 夏場は、レールの温度が40度を超えて上昇する。玉子を落とすと目玉焼きが出来るほどだ。レールは、暑さで伸びる。
 冬は、温度が下がって、レールが縮む。伸びたり、縮んだりで、レールの継ぎ目板のボルトに負担がかかる。
 古いレールだろうと新しいレールだろうと同じである。保守を終えてこの入口の引戸をあけるときどんなことを思うのだろうか。



⑭ 快走                                  栗駒-田町間
 春の陽を受けて、今日もくりでんは走る。細倉鉱山の貨物輸送から地域住民の足として、第3セクター故に、料金が高いと思うかもしれない、それでも、毎日、同じ時間に列車が来る、あたり前のことだが。
 今の季節、栗駒山の残雪を見ながらの沿線のサクラが見頃。一度、くりでんに乗ってみませんか?


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